土曜日, 7月 13, 2013

ウィーン・フィル ブラームス 交響曲全集神話



 
  今日の主役はウィーン・フィル。この楽団はブラームスを最強の「持ち駒」としており、誰が振っても高度なレベルの演奏を提供する。しかし、できれば当代第1等との指揮者との音源こそ誇り高きウィーン・フィルにはふさわしい。彼らは慎重に指揮者を選び、時代切っての名演を紡ぐことこそ使命と思っているだろう。ここから逆に名指揮者をあぶりだしていこうというのが今日のひとつの眼目である。まずは、巨匠フルトヴェングラーの時代があり、そして死後、一時、その跡目とも期待されたクーベリックについて。

HMV レビュー から引用
フルトヴェングラーの伝説のオール・ブラームス・コンサートを再現!

フルトヴェングラー伝説のブラームス・コンサート1日を再現。これぞCDならではの疑似体験。フルトヴェングラーの考えぬかれたプログラムを堪能しました。新しい音質で見事蘇り、ボスコフスキーの美音も聴き物です。日本語解説書付。

・ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲
・ブラームス:二重協奏曲
・ブラームス:交響曲第1番

ボスコフスキー(Vn) 
ブラベッツ(Vc)
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)ウィーン・フィルハーモニー

1952年1月27日、ムジークフェラインザール
録音:ロートヴァイスロート放送集団




   クーベリックのブラームス交響曲全集は、4番(1956324-25日)、2番(195734-8日)、1番(同年923-24日)、3番(同年928-29日)の順で、ウィーン・ゾフィエンザールにてDECCAによってステレオ録音で収録されたもの。フルトヴェングラー亡き後、カラヤンのウィーン席巻までの空隙を埋めるかのように、若き俊英クーベリックがいかに当時注目されていたかの証左。演奏もフルトヴェングラーを彷彿とさせるようなパッショネイトさもあって熱演。その後、同じDECCAで下記のカラヤン盤(1番、3番)が出たので、いわばお蔵入りになってしまった。


【以下はタワーレコードからの引用】
全集としては2種しかないクーベリックのブラームスの交響曲全集のうち、ステレオ初期のウィーン・フィルとの貴重な最初のセッション録音。後のバイエルン放送響との録音では落ち着いた滋味溢れる好演奏を聴かせており、クーベリックのブラームス演奏はベートーヴェンと並んで高い評価を受けています。ステレオ録音を始めたばかりのDECCAが、まだ40代になったばかりの若いクーベリックを使って全集録音を遂行しようとしたことは、当時いかに彼に期待を寄せていたかを物語っているとも言えます。
演奏は強靭な精神力を基に、クーベリック独自の圧倒的なブラームス感が濃厚に描かれています。後の演奏とは異なるこの響きは、ウィーン・フィルとDECCAとの組み合わせだからこその成果と言えましょう。
http://tower.jp/item/3444790/
 
 

フルトヴェングラー亡きあと、次はカラヤン。カラヤンとは1949年2番の録音もあり以前から近しい存在であった。上記は小生のよく聴く演奏だが、蜜月時代は短くその後ウィーン・フィルとカラヤンの関係が悪化し決裂。ブラームスは1,3番は残すが、2,4番のこの時期の録音は実現せず。帝王カラヤンは、ウィーンを後にし、ベルリン・フィルとの累次録音に傾注することになる。この時期、ウィーン・フィルはべームとの関係もぎくしゃくしており、ブラームスではべームもベルリン・フィルとの歴史的名演を残す。ウィーン・フィルにとってはマエストロ不在の焦りの時期である。誰にタクトを託すべきか?

ブラームス:交響曲第2番 カラヤン&ウィーン・フィル
(1949年 2番)

 HMV レビュー から引用
カラヤンとウィーン・フィルの名演

【制作者より】

録音当時、上昇気流に乗ったカラヤンの若々しい覇気の溢れる演奏を、オープンリール・テープから復刻しました。カラヤンの指揮もさすがですが、この頃のウィーン・フィルのしたたるような美音はまた格別の味わいがあります。

【解説書の内容】
このディスクの録音が行われた年の春、カラヤンはウィーン・フィルと初来日を果たしましたが、この時、彼らと行動を共にした故福原信夫氏の貴重な報告記事をご遺族の了解を得て全文掲載します。カラヤンの人間性や、当時の空気が非常に良く伝わってくる貴重な文献です。(以上、平林直哉)

【収録情報】
1. モーツァルト:交響曲第40番ト短調 K.550
2. ブラームス:交響曲第1番ハ短調 作品68

 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)

 録音時期:1959年3月27,28日(1)、1959年3月23,26日(2)
 録音場所:ウィーン、ゾフィエンザール
 録音方式:ステレオ(セッション)
 
ブラームス:交響曲第4番 大学祝典序曲
 

  欧州大陸はカラヤンが席巻し、アメリカは5大メジャー(ニューヨーク、クリーブランド、ボストン、フィラデルフィア、ロサンジェルス)が覇を競う。バーンスタイン、セル、ミュンシュ、オーマンディ、そしてメータらが活躍していた。皆、ブラームスは自家薬籠中の演目。特に、ミュンシュは得意としていた。一方、英国には円熟期をむかえた名匠、サー・ジョン・バルビローリがいた。ウィーン・フィルは彼と交響曲全集を収録した。しかし、バルビローリは1970年初来日を控え惜しまれて急逝した。

 
HMV レビュー から引用
『EMI CLASSICS 名盤 SACDシングル・レイヤー・シリーズ』
バルビローリ&ウィーン・フィル/ブラームス:交響曲第1番
限定盤

 この自然さ、この安定感。バルビローリの円熟味を感じさせる晩年の名演
 自然な流れを重視した流れるような安定感のあるブラームスです。表現や音の響きにしなやかさがあり、落ち着いたバルビローリならではの世界が堪能できる1枚です。必要以上に力を入れることなく大きなフレージングを駆使した20世紀の名演が展開されます。(EMI)

【収録情報】
・ブラームス:交響曲 全集

 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 サー・ジョン・バルビローリ(指揮)

 録音時期:1967年
 録音方式:ステレオ(アナログ/セッション)
 英アビー・ロード・スタジオ最新リマスター音源使用
 
 

  バルビローリにつづき、ウィーン・フィルが白羽の矢をたてたのがイシュトヴァン・ケルテスだった。60年代から関係を構築し70年代、頭角をあらわしたこのいまだ少壮のしかし大物指揮者は、ウィーン・フィルとの相性が良かったようだ。しかし、不幸なことにケルテスも不慮の事故死に遭う。
 
 これ以降、ウィーン・フィルは矢継ぎ早といってよいほど、大指揮者なら誰でも・・・とは言わぬながら次々に指揮者を代えてブラームスを録音し続けることになる。メータ、クライバーなどに加えて全集では、べーム、バーンスタイン、ジュリーニといった具合に。しかし今日からみれば、最高ブランドたるウィーン・フィルのブラームス交響曲全集、その希少価値神話は、ケルテスをもって歴史的には終焉を迎えたと言えるのかも知れない。

 
HMV レビュー から引用
ブラームス:交響曲全集、セレナード集(4CD)
ケルテス&ウィーン・フィル、ロンドン響
若くして高い評価を得ていたハンガリーの指揮者、イシュトヴァン・ケルテス[1929-1973]の代表作のひとつともいわれるブラームスの交響曲全集。ウィーン・フィルのゾフィエンザール・サウンドを満喫できる逸品でもあります。

【交響曲】
交響曲第1番と第3番、ハイドン変奏曲は、ケルテスが遊泳事故で亡くなる直前に録音されたものですが、ハイドン変奏曲の終曲パッサカリアについては未完結となっていたため、その部分はウィーン・フィルの団員がケルテスの死を悼んで、指揮者なしで録音を完了したというエピソードでも知られています。
 ケルテスの指揮はブラームスらしさを大切にし、内声を充実させた立派なもの。オケが相性の良かったウィーン・フィルということもあり、生き生きと弾む音楽が実に魅力的でもあります。
 なお、1964年に録音された交響曲第2番では、まだ若かったケルテスのフレッシュな音楽づくりが聴きものとなっています。
 4曲ともに、デッカならではの厚みと艶のあるサウンドが、ウィーン・フィルならではの艶麗さと武骨さの入り交じる、複雑な味わいのブラームスを楽しませてくれます。 

【収録情報】
ブラームス:
1. 交響曲第1番ハ短調 Op.68
2. 交響曲第2番ニ長調 Op.73
3. 交響曲第3番ヘ長調 Op.90
4. 交響曲第4番ホ短調 Op.98
5. ハイドンの主題による変奏曲 Op.56a

 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 イシュトヴァン・ケルテス(指揮)
 録音時期:1973年(1,3,5)、1972年(4)、1964年(2)
 録音場所:ウィーン、ゾフィエンザール
 録音方式:ステレオ(アナログ/セッション)
 
 

デッカ ザ・ベスト1200
ケルテス&ウィーン・フィル/ブラームス:交響曲第2番


長い生みの苦しみの末に第1交響曲を世に送り出したブラームスは、その翌年には次の交響曲の作曲に着手し、その年の内に完成させました。こうして短期間のうちに完成された第2交響曲は、のびやかな歌謡性に富み、晴朗な曲想を持っているため「ブラームスの田園交響曲」と呼ばれて親しまれています。
 初期の作品に属するセレナード第2番は、ヴァイオリンを用いない特殊な編成による曲。(ユニバーサル ミュージック)

 

デッカ ザ・ベスト1200
ケルテス&ウィーン・フィル/ブラームス:交響曲第3番、第4番

人生の後半期に入ったブラームスの作品は徐々に内面的な要素と憂愁の色を強めていきますが、50代になってから完成された第3番と第4番の両交響曲もじっくりと味わいたい名作です。
 ケルテスがウィーン・フィルと完成させたブラームスの交響曲全集は、若くして不慮の事故のために世を去った彼の遺作となったもので、オーケストラの美質を最大限に活かした自然な表現が心を打ちます。(ユニバーサル ミュージック)

【収録情報】
ブラームス:
1. 交響曲第2番ニ長調 op.73
2. セレナード第2番イ長調 op.16

 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1)
 ロンドン交響楽団(2)
 イシュトヴァン・ケルテス(指揮)

 録音時期:1964年5月(1)、1967年12月(2)
 録音場所:ウィーン(1)、ロンドン(2)
 録音方式:ステレオ(アナログ/セッション)
 ルビジウム・カッティング
 
【収録情報】
ブラームス:
1. 交響曲第3番ヘ長調 op.90
2. 交響曲第4番ホ短調 op.98

 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 イシュトヴァン・ケルテス(指揮)

 録音時期:1972年11月(2)、1973年2月(1)
 録音場所:ウィーン、ゾフィエンザール
 録音方式:ステレオ(アナログ/セッション)
 ルビジウム・カッティング
 
ブラームス:交響曲第1番、リスト:前奏曲 メータ&ウィーン・フィル(限定盤)
 
HMV レビュー から引用
ウィーン・フィルSHM-CD名盤シリーズ
ウィーン・フィル来日記念盤
初回限定生産 SHM-CD仕様

ブラームス:交響曲第1番、リスト:前奏曲
メータ&ウィーン・フィル

そのデビュー盤がウィーン・フィルとのブルックナー第9番だったメータはその後もウィーン・フィルとの名盤を多く残しています。このコンビによる唯一のブラームスがこの録音です。(ユニバーサルミュージック)

【収録情報】
・ブラームス:交響曲第1番ハ短調 作品68
・リスト:交響詩『前奏曲』S97
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 指揮:ズービン・メータ

 録音時期:1976年2月、1966年5月(リスト)
 録音場所:ウィーン、ソフィエンザール
 録音方式:ステレオ(セッション)
 
交響曲第4番 C.クライバー&ウィーン・フィル
 
HMV レビュー から引用
カルロス・クライバー&ウィーン・フィル/ブラームス第4番

1980年デジタル録音。ほとんどマニアックと言ってもいいディテールへの徹底したこだわりと、あたかも奔流を思わせる音楽の進行、時に官能的でさえある生々しい生命力を兼ね備えた凄い演奏。他に類例のないこのアプローチを完璧に受け止めきったウィーン・フィルの能力も驚異的、この組み合わせでなければ成立不能な稀有の音楽体験と言えるでしょう。

■ブラームス:交響曲第4番ホ短調作品98
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:カルロス・クライバー

録音:1980年3月ウィーン〈デジタル録音〉
〈オリジナル=イメージ・ビット=プロセッシング〉
 
ブラームス:交響曲第2番、モーツァルト:交響曲第36番 クライバー&ウィーン・フィル(DVD)
 
HMV レビュー から引用
DTS5.1チャンネル・サラウンド付きで登場!

フォト・ギャラリーも収録!

クライバー&ウィーン・フィルのブラ2&リンツ

音楽の喜びと美しさに満ち溢れたクライバーのライヴ!
1991年10月、カルロス・クライバーは突然公開演奏会のOKを出し、モーツァルトの《リンツ》とブラームスの交響曲第2番というプログラムで、ウィーン・フィルによるコンサートが2日間にわたって行われました。指揮棒を振り下ろすやいなや、聴衆も楽員もクライバーのタクトによって、魔法にかかったように音楽に引き込まれていきます。クライバーとウィーン・フィルによる音楽の喜びと美しさに満ち溢れた演奏が、音と映像を通して鮮やかな感動を呼び起こします。

■モーツァルト:交響曲 第36番 ハ長調 K.425《リンツ》
■ブラームス:交響曲 第2番 ニ長調 作品73

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:カルロス・クライバー

制作:1991年10月6-7日 ウィーン、ムジークフェライン(ライヴ)

映像監督:ホラント・H.ホールフェルト
収録時間:72分
画像:カラー、スタンダード・サイズ(4:3)
音声:リニアPCMステレオ、DTS 5.1ch
片面1層記録方式
 
交響曲全集 ベーム&ウィーン・フィル(3CD) 
 
HMV レビュー から引用
ブラームス:交響曲全集
ベーム&ウィーン・フィル

空前の反響を呼んだというベーム&ウィーン・フィル初来日公演の直後、1975年の5~6月にウィーンのムジークフェラインザールでセッション・レコーディングされたもので、日本でも年内に緊急発売されて1976年度レコード・アカデミー賞を受けるなど各方面から絶賛された名盤です。
 いかにもベームらしい揺ぎない構築力を示す堂々たる演奏が揃っていますが、オーケストラがウィーン・フィルということもあって、どっしりしたフレームの中で、楽員がニュアンス豊かな音楽を展開する様子は実に魅力的。第1番第1楽章の序奏部における壮大な力感表出などさすがですが、一方で、第4番では、晩年のベームならではの渋味を含んだ味わいのある情感が深い感動を呼び起こします。ウィーン・フィルの響きも充実した美しいもので、名コンマス、ゲアハルト・ヘッツェルによる第1番第2楽章の甘美なヴァイオリン独奏や、独特の濃厚な音色の木管ソロのなど、ムジークフェラインザールならではのトゥッティの素晴らしい響きと相まってトータルな魅力を実感させてくれます。
 組み合わせの『ハイドンの主題による変奏曲』『悲劇的序曲』『アルト・ラプソディ』は、交響曲のあと、1976年と77年に収録されており、こちらも高水準な仕上がりです。
 中でも『アルト・ラプソディ』はスケールの大きな演奏で、厳しく彫琢されたオーケストラ・サウンドをバックに、クリスタ・ルートヴィヒがほの暗い声で切々と歌い上げ、ウィーン楽友協会合唱団の男声団員の面々が深々とした合唱であたたかく締めくくっています。トータル220分収録。(HMV)

【収録情報】ヨハネス・ブラームス
CD1
・交響曲第1番ハ短調 Op.68
・ハイドンの主題による変奏曲 Op.56a

CD2
・交響曲第2番ニ長調 Op.73
・アルト・ラプソディ Op.53
・悲劇的序曲 Op.81

CD3
・交響曲第3番へ長調 Op.90
・交響曲第4番へ長調 Op.98

 クリスタ・ルートヴィヒ(Ms)
 ウィーン楽友協会合唱団
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 カール・ベーム(指揮)
 
交響曲全集、協奏曲集 バーンスタイン&ウィーン・フィル(5CD)
 
HMV レビュー から引用
バーンスタイン&VPO/ブラームス全集、他(5CD)
レコード・アカデミー大賞に輝いた、バーンスタインとウィーン・フィルの名盤。同じくウィーン・フィルとのベートーヴェン全集の成功を踏まえ、さらに大きく作品の情念的側面へと踏み込んでみせた演奏で、時代考証が一般化した今日では、そのあまりにも後期ロマン派的な傾向に驚かされますが、作曲者ブラームスの心のひだに想いを寄せ、複雑かつ陰影深い心情に寄り添い、その感情のうつろいを克明に活写したこの演奏が、いまなお無類の説得力と特別な感銘を少しも損なっていないことは確か。ウィーン・フィルの、ウィーン・フィルにしか不可能な情の深く熱いサウンドも大きな魅力となっています。
 カップリングは、鬼才クレーメルの怜悧なソロとバーンスタインの濃密アプローチが不思議な融和をみせたヴァイオリン協奏曲(第1楽章のカデンツァにレーガーの前奏曲 op.117-6を使用したことでも有名な演奏)、クレーメル&マイスキーとの二重協奏曲、二つの序曲とハイドン・ヴァリエーションです。

・ブラームス:
 ①交響曲第1番ハ短調 op.68
 ②交響曲第2番ニ長調 op.73
 ③交響曲第3番ヘ長調 op.90
 ④交響曲第4番ホ短調 op.98
 ⑤大学祝典序曲 op.80
 ⑥悲劇的序曲 op.81
 ⑦ハイドンの主題による変奏曲 op.56a
 ⑧ヴァイオリン協奏曲ニ長調 op.77
 ⑨ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲イ短調 op.102
 ギドン・クレーメル(vn)⑧⑨
 ミッシャ・マイスキー(vc)⑨
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 レナード・バーンスタイン(指揮)
 デジタル・ライヴ録音:
 1981-1982年 ウィーン、ムジークフェラインザール①-⑦⑨
 1982年 ウィーン、コンツェルトハウス⑧
 
 
 
HMV レビュー から引用
ブラームス:交響曲全集
ジュリーニ指揮ウィーン・フィルハーモニー
1989~91年デジタル録音。交響曲全曲と悲劇的序曲、ハイドン変奏曲を収録。完全主義者ジュリーニがウィーン・フィルと築き上げたモニュメンタルなブラームスが、細部の繊細な質感に至るまで完璧に再現されるのは優秀録音の醍醐味。ムジークフェラインザールならではの深く美しい響きが存分に味わえる素晴らしいセットです。

交響曲第1番
1991年4月、ウィーン、ムジークフェラインザール
横の線に重きを置いたブラームス。劇的な緊迫感よりは旋律表現が重視されており、滲み出る情感には独特な魅力が備わっています。特に第2楽章と第4楽章は美しい仕上がりで、この作品ならではの旋律美が倍化されて迫ってくるような錯覚さえ覚えるほど。トゥッティでも決して汚い響きにならないオーケストラのサウンドも見事です。

交響曲第2番
1991年4月、ウィーン、ムジークフェラインザール
遅いテンポを採用し、作品の細部に宿る美を徹底的に追求した趣の個性的な演奏。特に第2楽章の深みのある美しさは信じがたいもので、主題の波打つ様子やパッセージの受け渡しなど、室内楽的表現と管弦楽的表現のあいだを自在に往復するウィーン・フィルの技量はさすがとしか言いようがありません。
 9分7秒からのクライマックスは本当に凄い音楽になっていて、ジュリーニの枠の大きさが完璧に生かされた演奏には圧倒されるばかり。 ギュンター・ヘルマンスの捉えたVPOサウンドが骨太で聴き栄えが良いのも美点です。

交響曲第3番
1990年5月、ウィーン、ムジークフェラインザール
オープニングの緊迫した雰囲気からもジュリーニの好調ぶりが伝わってきます。鋭利な管楽器群、うなるコントラバス、量感豊かなティンパニと、ウィーン・フィルならではのサウンドが実に立派。
 そうしたオケの特質が最もよく表れているのが第2楽章と第3楽章で、多彩な音色で情感豊かに波打つ音楽は素晴らしいとしか言いようがありません。
 終楽章では一転、快速なテンポでダイナミックな音楽を構築しており、骨太なカンタービレの果てに訪れる静かで印象的なコーダも、各パートの克明な響き具合が立体的で、冒頭主題による終焉も美しく決まっています。 第1楽章呈示部反復実行。

交響曲第4番
1989年5月、ウィーン、ムジークフェラインザール
第1楽章冒頭から美しいカンタービレを満喫させる名演。オケがオケだけに全曲に頻出するピツィカートも実にセンスがよく、コントラストをはっきりさせるというよりは、横の流れを重視したジュリーニの解釈を巧みにフォローしているのがポイント。第1楽章コーダにおけるティンパニの迫力技も聴きものです。
 第2楽章はウィーン・フィルならではの濃密な美感が堪能できる見事な演奏で、特に、2分57秒からの美しさはまさにジュリーニ芸術の真骨頂とでも言いたくなる音楽といえ、以下、クライマックスの第2主題再現部(9分10秒から)に至るまで、陶然とするばかりの「美」をたっぷりと味わうことが可能です。
 一転して第3楽章は豪壮な迫力に満ち、強大でしかも立体的という、ウィーン・フィル固有のフォルテの魅力を存分に味わわせてくれるほか、ホルンとティンパニの巧さにも感激。
 第4楽章も凄い音楽。ジュリーニの息長く絶妙なカンタービレ解釈にひたすら感謝したくなる重厚なソノリティをベースに、室内楽的な弱音部が美しく照射された名演。 特に、6分37秒からの再現部の驚くべき迫力とスケール感、腰の据わったヘヴィーな音楽づくりは、変化に富む表情を捉えきって申しぶんがなく、天才としか言いようのないティンパニストのバチさばきと併せて無類の感動を与えてくれます。 

ハイドンの主題による変奏曲
1990年5月、ウィーン、ムジークフェラインザール
全体にかなり遅めのテンポ設定ですが、変奏曲という作品の性格もあって、その遅さがむしろプラスに作用している場面が多いのが特徴。 主題がどのように変形されているのかが、微視的なスタイル&録音状態ということもあって非常に判りやすくなっているのです。
 また、トラック11などに代表される、ウィーン・フィルならではの楽器の音がクローズアップされて面白いのも美点と言えるでしょう。

悲劇的序曲
1989年5月、ウィーン、ムジークフェラインザール
交響曲第4番と同時期に収録されているせいか、緊張感みなぎる音楽づくりは共通で、ときに息苦しいまでの濃密なカンタービレが、ウィーン・フィルの美音を得て緻密に立体的に表現されるさまはまさに圧巻。
 この作品の魅力の大きな部分を形成する対位法的書法への配慮も万全で、細かな音色変化を可能にするオーケストラと、完全主義者ジュリーニならではの共同作業の成果として、後半は特に聴きごたえがあります。

【収録情報】・ブラームス
Disc1
・交響曲第1番ハ短調 Op.68
Disc2
・交響曲第2番ニ長調 Op.73
Disc3
・交響曲第3番へ長調 Op.90
・ハイドンの主題による変奏曲 Op.56a
Disc4
・交響曲第4番へ長調 Op.98
・悲劇的序曲 Op.81

 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 カルロ・マリア・ジュリーニ(指揮)

交響曲第4番 レヴァイン&ウィーン・フィル(限定盤)

HMV レビュー から引用
ウィーン・フィルSHM-CD名盤シリーズ
ウィーン・フィル来日記念盤
初回限定生産 SHM-CD仕様

ブラームス:交響曲第4番/レヴァイン&ウィーン・フィル
レヴァインにとって2度目の録音となったブラームスの交響曲全集はウィーン・フィルとのライヴでした。名実ともに巨匠の道へと歩み始めた彼を象徴する演奏です。交響曲第4番は来日公演曲目。(ユニバーサルミュージック)

【収録情報】
・ブラームス:交響曲第4番ホ短調 作品98
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 指揮:ジェイムズ・レヴァイン

 録音時期:1994年11月
 録音場所:ウィーン、ムジークフェラインザール
 録音方式:デジタル(ライヴ)
 
ブラームス:交響曲第1番、ワーグナー:ヴェーゼンドンク歌曲集、R.シュトラウス:『ドン・ファン』 ヤンソンス&ウィーン・フィル、ステンメ
 
HMV レビュー から引用
2012年ザルツブルク音楽祭のライヴ!
ヤンソンス&ウィーン・フィル
充実のプログラムで聴かせる白熱の演奏
2012年ザルツブルク音楽祭のライヴ映像。2012年に共演20周年を迎えたマリス・ヤンソンスとウィーン・フィル。ニューイヤー・コンサートに続きザルツブルク音楽祭でも相性抜群のコンビネーションと冴えわたる指揮振りで充実のプログラムを聴かせてくれています。
 スペインの伝説上の人物ドン・ファンを主題としたニコラウス・レーナウの詩に基づいて作曲されたR.シュトラウスの交響詩第1作目『ドン・ファン』。ウィーン・フィルの艶やかな音色としなやか表現力でR.シュトラウスの魅力が凝縮された演奏も特筆すべき点ですが、R.シュトラウスを得意とするヤンソンスの巧みなドラマ作りと、磨き抜かれた響きは、まさにヤンソンスの独壇場ともいえるでしょう。スウェーデン出身現在絶好調のソプラノ、ニーナ・ステンメが歌うワーグナーのヴェーゼンドンク歌曲集。そしてヤンソンスが実演でもよく取り上げ、バイエルン放響やオスロ・フィルとの共演盤でも高い完成度の音楽を披露しているブラームスの交響曲第1番。情緒溢れる旋律を描き出し、ウィーン・フィルの美麗な音色を引き出すヤンソンスの情熱が注ぎ込まれた演奏は、作品に新たな生命力を与えています。(キングインターナショナル)

【収録情報】
・R.シュトラウス:交響詩『ドン・ファン』 Op.20
・ワーグナー:ヴェーゼンドンク歌曲集
・ブラームス:交響曲第1番ハ短調 Op.68

 ニーナ・ステンメ(ソプラノ)
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 マリス・ヤンソンス(指揮)

 収録時期:2012年8月
 収録場所:ザルツブルク音楽祭(ライヴ)

 収録時間:95分

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