日曜日, 6月 02, 2013

幻想交響曲

ベルリオーズ:幻想交響曲、他

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 ジャケットとともに小生のお気に入りである。195811月の古い音源ながら、いまだにその価値がいささかも減じない名演。第2、3楽章のメロディの美しさには思わず絶句するが、音楽が一瞬たりとも淀むことなく透明感をもって清々と流れていく快感がたまらない。また、管弦楽の各パートのバランスが絶妙で、(第4楽章の冒頭のティンパニーなど一部を除き)特定の楽器が過度に自己を主張することがなく、全体の「音束」が均一に整序されている。

 多くの「幻想」の名盤があるが、腺病質的な部分が抑制され仄かな明るい基調に支配されていること、純音楽的に磨かれた美しさこそが本盤の最大の特色だろう。一方、リズムは可変的に刻まれ弛みがないようにきっちりとコントロールされており、「こけおどし」的大音量などはなくとも内燃的な迫力は十分。知的で抜群のセンスのよさでは他の追随をいまも許していない。

マルケヴィッチ指揮RIAS交響楽団=ベルリン放送交響楽団(旧西) ベルリオーズ:幻想交響曲

マルケヴィッチ指揮RIAS交響楽団=ベルリン放送交響楽団(旧西) ベルリオーズ:幻想交響曲

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ベルリオーズ:幻想交響曲

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   半世紀近くも前だが上野の東京文化会館のブースで、本演奏をリクエストし一人聴きいり、はじめて「幻想」という曲の凄さを知った気がした。195311月、残響豊かなベルリン・イエスキリスト教会でのモノラル録音。当時としては音の解析がクリアで、いま聴いても変わらぬ名演としての一種の<威容>がある。マルケヴィッチは作曲家としても、オーケストラ・ビルダーとしても高い能力をもっていたようだが、鬼才ベルリオーズの斬新な作風、特異の感受性をベルリン・フィルから見事に引き出しここに横溢させているように思う。 

 激しいパッショネイトな後半の「断頭台への行進」や「サバトの夜の夢」は誰が振っても相応な感動があるはずだが、マルケヴィッチの鋭い解析力がはっと実感できるのは、むしろ前半の「夢、情熱」や「野の風景」の緩やかな微音部分かも知れない。1度だけ実演に接したこともあるが、痩躯な横顔と長い指揮棒がマッチし指揮棒の先の震えるような動きが印象に残っている。録音のよい「幻想」のディスクはあまたあるが、鋭き解釈において後世の指揮者にこのマルケヴィッチ盤(ラムルー響の新盤とも)のあたえた影響は蓋し大きかったろう。誉れ高き、先駆的な名盤である。

 なお、同コンビによる代表的な成果としてハイドン:オラトリオ「天地創造」も推奨。


ベルリオーズ:幻想交響曲

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 マルケヴィッチは以上3種類ともに聴いた。RIAS交響楽団=ベルリン放送交響楽団(旧西) ベルリオーズ:幻想交響曲 1952918日ライヴ盤は、咳が耳につき音もやせ気味だが、ライヴでも解釈、演奏スタイルが一切ぶれていないことがわかる。もともと、早熟な音楽家かつ鋭敏な作曲家でもあったわけだから、そう出来に差ができるはずはないのかも知れないが、1962年にラムルー管弦楽団を振ったステレオ盤までの3種はいずれも感覚鋭い名演である。


ベルリオーズ:幻想交響曲

内容紹介(引用)

1967年、フランス文化相アンドレ・マルローの提唱により創設されたパリ管弦楽団は「諸外国にパリおよびフランスの音楽的威信を輝かすこと」を使命とされた、まさにフランスが世界に誇ることを目指したオーケストラでした。その初代音楽監督に選ばれたのが、70歳を越えたフランスを代表する指揮者、シャルル・ミュンシュ。この『幻想交響曲』はミュンシュが最も得意とした曲のひとつであり、パリ管弦楽団の記念すべき最初の演奏会での演目。熱のこもった力溢れる名演です。110年の歴史を持つEMIレーベルの中でも名盤の誉れ高い1作で、100枚の名盤が集結するこのシリーズの冒頭を飾るに相応しい20世紀の記録といえるでしょう。
●レコード芸術推薦盤。68年度レコード・アカデミー賞受賞。
●録音:1967-10


 

 当時、アンドレ・マルローの威令はゆきとどき、小生もご多聞にもれず流行していた彼の小説を何冊か読んだ(いまはほとんど内容を忘れているが、人の顔の抉るような描写のうまさに感心したことだけは覚えている)。
 マルロー閣下主導、鳴り物入りのパリ管だったが、結果的にミュンシュは無理がたたり命を縮めてしまったような気がする。1967年の「幻想」はまさにパリ管への悲しき置き土産となった。

 クリュイタンスとは肌合いのことなる演奏で、けっして「美しく」はない。むしろ、ベルリオーズのもつおどろおどろしさも垣間見えるし、腺病質的な危うさもときに顔をだす。「幻想」のもつ複雑な心理描写をトータルとしてもっとも的確に表現しているように思う。
 ボストン時代から手中の演目だが、ミュンシュは録音にあたって吟味し直し考えぬき、表現しつくしてやろうとの気概のようなものを感じる。

 なお、パリ管への管弦楽の統制は緩めで、パート演奏がややデフォルメされる傾向もある。ここを次に音楽監督についたカラヤンは気にいらず鍛えなおしたエピソードは有名。
 
   ベルリオーズ:幻想交響曲
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 19845月、モントリオールでの録音。シャルル・デュトワは一時期、アルゲリッチと結婚し一女をもうけていたと思うが、その情報バイアスが強すぎてか、小生にはどうも艶福家のイメージが消えない。それは裏をかえせば、酸いも甘いも心得た大人の風貌ともいえ、この「幻想」は現実を生き抜く恋多き若者のパッションをストレートに表現しているような印象がある。思い切りのよいドライブの利いた好演である。


ベルリオーズ:幻想交響曲

ベルリオーズ:幻想交響曲[1945年録音]~モントゥー&サンフランシスコ響名演集

内容(「CDジャーナル」データベースより引用)

35年に音楽監督に就任以来、SFSOを全米のメジャーに引き上げたモントゥーの、もっとも充実していた時期の名演。特に「幻想」は2度目のもので、後年の演奏とは違い、メリハリのきいた、実に気迫のこもった演奏だ。ほかも94年のボックスで初めて世に出たという録音。
 
 
 ジャン・ルスロ (), 横山 一雄 (翻訳)『小説ベルリオーズ』 (1975年 音楽之友社)を読んでいると「幻想」での悲恋はその後、紆余曲折をえて実り、ベルリオーズは憧れのハリエット・スミスソンと結ばれる。しかし、実はここからが新たな男女の縺れのはじまりであり、 ベルリオーズは社会的な名声をえる一方でスミスソン、そして若い愛人との婚姻、恋愛関係では一生悩むことになる。つまり、「幻想」はその後現実に雲散霧消したのではなく終生、ベルリオーズにメフィストのように纏わりつくのである。 彼は死の床で第5章を反芻していたかも知れない。

 さて、ピエール・モントゥの戦前・戦中の記録も有名である。音はさすがに割れていて聴きづらいが、充実した演奏が偲ばれる。


ベルリオーズ:幻想交響曲

最後に「幻想」の先駆性にはいつも驚く。ベートーヴェンと一部同時代に生きていたのだが、第2楽章ではベートーヴェン初期交響曲を、第3楽章は6番を、第4楽章は7番の強烈なリズム感を連想させる。その一方、循環動機、先進的な管弦楽法(彼は近代作曲家として初の理論書も書いている)と大胆なオーケストラの起用では、パガニーニ、リスト、ワーグナーらに与えた影響は絶大である。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%BB%E6%83%B3%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2
 
Symphonie Fantastique:幻想交響曲
 
★デモノロジーと音楽☆
 

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