水曜日, 12月 31, 2008

東急 ジルベスターコンサート 2008-2009

 久しぶりに家内と渋谷のオーチャードホールにコンサートに行く。<カウント・ダウン>も<TVライヴ>も新鮮だったし、いろいろと思うところはあるが、いくつかを備忘録まで。
 第1に、小曽根真のピアノが実に素晴らしかった。天才的な音感の持ち主で、かつ指が自然と動いていくような技倆をもっているのでは・・・と感じた。どの曲も緊張感に満ち見事な出来映えで、帰路もそのことばかりが気になった。
 第2に、マエストロ井上道義について。関西でもアンサンブル金沢のコンサートを聴いた(アンコールがなんと「六甲おろし」で唖然とした)が、この人の聴衆へのサービス精神には脱帽する一方、もっと、「ぶっきらぼう」でも良いのにとも思う。自作の「メモリコンクリート」の義父の偲んでの演奏も、森麻季のアリアでのピアノ伴奏でも非常な才気を感じるだけに、余計にそう思う次第である。
 第3に、上野水香のバレエも見応えがあった。肉体的な運動能力の高さと精神統一が表裏一体といった演じぶりで、次代のプリマが期待されるのも当然と思った。
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2008-2009 東急ジルベスターコンサート
  今回は「ラプソディー・イン・ブルー」で2009年をカウントダウン。曲が終わる瞬間に新年を迎える、華やかでスリリングなコンサート!
 “踊るジルベスター”をテーマに、今回は「ラプソディー・イン・ブルー」で2009年を華やかにカウントダウン。曲が終わる瞬間に新年を迎える、贅沢な緊張感が人気のコンサートをお届けします。指揮者は世界的なマエストロ、井上道義。日本を代表するバレリーナの上野水香や金メダリスト荒川静香も、ソリストとして出演。華やかでスリリングな時間をお過ごしください。司会は大のクラシックファンでもある、西村雅彦。
出演 (指揮)井上道義 (管弦楽)東京フィルハーモニー交響楽団 (ソリスト)ピアノ:小曽根真、ヴァイオリン:古澤巌、ソプラノ:森麻季、バレエ:上野水香・高岸直樹、スケート:荒川静香(大阪中継)、 (司会)西村雅彦、大江麻理子(テレビ東京アナウンサー)
<主要演奏曲>
○ガーシュイン:ラプソディー・イン・ブルー (カウントダウンは井上道義&小曽根真&上野水香で白熱のラプソディー!)○ヘンデル:オンブラ・マイ・フ (年明けは森麻季の美声で厳かに。2009年はヘンデルイヤー)○チャイコフスキー:バレエ「くるみ割り人形」から「ロシアの踊り」○サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン(スケート生中継、荒川静香が舞う!)○ショスタコーヴィチ「ジャズ組曲」より「ワルツ第2番」 (マエストロの十八番で上野水香と高岸直樹が華麗なペアバレエ!)

火曜日, 12月 30, 2008

サラ・ブライトマン


ワールドプレミアムライブ アンコール 12月30日(火)BShi 午後7:30~8:50












 これは凄いコンサート。度胸のよさと透明感のある美声が、いわく言い難くマッチングしている。教会の長い残響と少しくグロテスクな彫刻群を、音楽と光線で生かしながら、そこに君臨する大歌手を活写していた。
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サラ・ブライトマン。北京オリンピックの開会式でのパフォーマンスも記憶に新しいが、今回紹介するのは、今年1月16日にウィーンの聖シュテファン寺院で収録されたコンサート。ハブスブルク家ゆかりの、オーストリア最大のゴシック建築教会である荘厳な寺院を舞台に、最新アルバム「神々のシンフォニー」の収録曲を中心に「オペラ座の怪人」や「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」など名曲の数々を幻想的な映像とともにお届けする。サラ・ブライトマンは、アンドレア・ボチェッリとのデュエット「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」が、全世界で1500万枚以上のセールスを記録した。【司会】クリス・ペプラー,RENA

http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/b344f59ce3752b033a723644553ae13a

 サラ・ブライトマン(1960年生)は、世界を代表するミュージカル女優として君臨する著名な歌手です。 一般的には馴染みも薄いですが、ミュージカル・ファンにとって最も信頼できる歌唱を身に付けた歌姫(ディーバ)の一人として認知されています。 
 また、8月に開催された北京五輪のオープン・セレモニーにおいて、公式テーマ・ソングを歌った歌手として認知された方も多いと感じます。
 (個人的な見解ですが、その秀でた歌唱は、先般放送されたセリーヌ・ディオンとならんで、ポスト・バーブラ・ストライサンドに一番近い位置にある歌手ではないかと感じます。) 
1981年に、ロンドンのミュージカル劇場での「キャッツ」のオリジナルキャストとして出演で、世間の注目を集めました。 
1984年「キャッツ」の作曲家であり、近年の大ヒット・ロングラン・ミュージカルを数々作曲したアンドリュー・ロイド・ウェバーと結婚。 
(ロイド・ウェバー作品は、日本でおなじみの劇団四季のロングラン・プログラムとして、「ジーザス・クライスト・スーパースター」、「エビータ」等、多くの作品が上演されている。1990年にサラ・ブライトマンとは離婚。)  
1986年、ロイド・ウェバーの代表作「オペラ座の怪人」の主演/クリスティーヌ役に抜擢され大成功し、世界の歌姫としての地位を確立しました。 
その後、ミュージカル界の世界を越えて、多くの分野の歌手達と共演しており、アンドレア・ボチェッリとのデュエット「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」が全世界で、1500万枚以上のセールスを記録するなど、数多くのヒット作品を送り出しています。 また、日本では、2006年10月に発売された、ベスト・アルバム『輝けるディーヴァ、~ベスト・オブ・サラ・ブライトマン~』が、国内だけで55万枚以上のセールスを記録するなど、その人気は、しっかりと日本人にも根付いていることを証明しました。
 
<曲目リスト> 1、PIE JESU  2、FLEURS DU MAL  3、SYMPHONY  4、SANVEAN  5、CANTO DELLA TERRA  6、SARAI QUI  7、ATTESA  8、I WILL BE WITH YOU(WHERE THE LOST ONES GO)  9、STORIA D’AMORE 10、PASION 11、RUNNING 12、LET IT RAIN 13、THE PHANTOM OF THE OPERA 14、TIME TO SAY GOODBYE 15、AVE MARIA

土曜日, 12月 20, 2008

クラシック音楽 聴きはじめ 6 アルゲリッチ




 今日は一日中、下記のアルゲリッチを聴いていた。1970年の来日公演(バッハ、ベートーヴェン、ショパン、プロコフィエフ)を聴いて以来のファンだが、彼女の名演がこの価格でマーケットに出ること自体に正直、戸惑いと憤りすら感じる。  

  1941年生まれのアルゲリッチ10代から42才頃までのソロ・アルバムの集大成。以下の7人の作曲家の名曲がラインナップされている。
 
 彼女の凄さは、リリー・クラウス、ハスキルやへブラーなどそれ以前の「女流ピアニスト」という言葉を、文字通り鍵盤の迫力で叩き潰したことにあると思う。リリックな部分の音感も秀抜だが、その一方、ベートーヴェンでもプロコフィエフでも大きな構えと強烈な音量で堂々と聴衆を圧倒する。語弊のある言い方で恐縮だが当時「女リヒテル」の異名すらあった。しかも若く美しい20代前後から、である。  

 そうした点では、この選集は彼女の個性の全てを網羅はしていないが、これだけの名演をこの価格で入手できることは特質に値する。自分は録音年代順に再トレースするつもりで多くのダブり覚悟で買ったが、これからライヴラリーを揃えたい向きにも最適な選択だろう。

<作曲家別収録曲>
■ショパン:ピアノ・ソナタ第2番、第3番、スケルツォ第2番、第3番、ポロネーズ第6番、第7番、アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ、マズルカ第36番、第37番、第38番、24の前奏曲、前奏曲嬰ハ短調、前奏曲変イ長調(遺作)、舟歌 嬰ヘ長調
■リスト:ハンガリー狂詩曲第6番、ピアノ・ソナタ ロ短調
■シューマン:ピアノ・ソナタ第2番、子供の情景、クライスレリアーナ
■ラヴェル:水の戯れ、夜のガスパール、ソナチネ、高雅にして感傷的なワルツ
■ブラームス:2つのラプソディ第1番、第2番
■プロコフィエフ:トッカータ ハ長調
■J.S.バッハ:トッカータ BWV.911、パルティータ第2番、イギリス組曲第2番


土曜日, 12月 13, 2008

諏訪内晶子 ブラームス





















ウイークエンドシアター 諏訪内晶子&ニコラ・アンゲリッシュ デュオ・リサイタル
BShi 2008年12月13日(土) 0:18~2:00(102分) 

                       
「バイオリン・ソナタ 変ロ長調 K.454から第1楽章、第3楽章」モーツァルト作曲                              「バイオリン・ソナタ」ドビュッシー作曲
「バイオリン・ソナタ 第2番 イ長調 作品100」ブラームス                              「バイオリン・ソナタ 第3番 ニ短調 作品108」ブラームス                              「ハンガリー舞曲 第2番 ニ短調」ブラームス
「バイオリンとピアノのための5つのメロディー作品35b から 第1曲」プロコフィエフ

(バイオリン)諏訪内晶子
(ピアノ)ニコラ・アンゲリッシュ                                           ~収録: 2008年4月10日東京・サントリーホール~
 
 毎年NHKが企画・主催しているクラシック音楽の祭典「NHK音楽祭」。 今回のテーマは「魅惑のバイオリン 魂のコンチェルト」。 NHKホールを舞台に世界一流のバイオリニスト、指揮者、そしてオーケストラによる夢の共演が実現する 「NHK音楽祭 2008」の第四夜を放送する。

 1. 交響詩「フィンランディア」 作品26   ( シベリウス作曲 ) 2. バイオリン協奏曲 ニ短調 作品47 ( シベリウス作曲 ) [ アンコール ]   無伴奏バイオリン・ソナタ 第3番 からラルゴ( バッハ作曲 ) 3. 交響曲 第2番 ニ長調 作品43( シベリウス作曲 ) [ アンコール ]   悲しいワルツ ( シベリウス作曲 ) 

バイオリン:諏訪内 晶子 管弦楽:フィルハーモニア管弦楽団 指 揮 :ウラディーミル・アシュケナージ        
収録: 2008年12月8日, NHKホール

 
CDで聴いた特には高音は美しいが、もう一歩迫力には欠けると感じたシベリウスが、アシュケナージの熱っぽい名サポートで生き生きと奏でられ、コンチェルトも良かった。
 しかし今日、しみじみと聴いたのは(掲載順序とは逆だが、その後演じられた)ブラームスである。写真は「営業用」に微笑を浮かべているが、諏訪内がコンサートではほとんど笑わないのが映像で見ていて良くわかる。演目終了後の挨拶もあっさり、さっぱりしていてベタつくところが全くない。
 名器「ドルフィン」からの連想で、そういえば前の持ち主ハイフェッツの苦みばしった恬淡とした対応が思い出されるが、表情を抑えるのは諏訪内自身のポリシーなのかも知れない。
 だが、演奏は少しく違う。ぼくはブラームスのバイオリン・ソナタは結構聴いているつもりだが、年寄りの枯れた演奏でなく、壮年期のヴァイオリストでこのように美しくも<感興>あるブラームスはなかなか耳にできないと思った。
 どの曲でも「笑わない」、冷静で沈着で、もしかすると感性がいつも「醒めている」ような諏訪内のブラームスは、けっして乾いてはいないし無機質的でもない。ハイフェッツで感じたことと同じく、大仰ではない仄かな悲しみ、それを表現する暖かみ、ぬくもりは確かにあるように思う。
 抑えに抑えても(あるいはそうすることによってこそ逆に自然に)発散する、その曲に確固と内在し聴衆に伝播していく作曲家の深い<感興>が今日の演奏では見事に引き出されていたという気がした。